青竹雑記帖(6代目)

テキスト処理をメインとしたIT解説をします。

文字だけで扱うコンピュータの世界(3):続・テキストエディタ事始め (ちょっとすごいものを集めてみた)

承前

blog.aotake91.net

本記事はテキストエディタ紹介の続きです。複雑なプログラミングなど、ちょっとすごいことをしたくなった時にはこの記事の一覧を参照してみてください。エディタによっては、プラグインによるスニペット(コードブロックなどの定型文を挿入してくれる機能)が使えたりします。プログラミングでは安易なコピペは強く戒められる悪行ですが、基本的構文の入力や、すでに入力した単語を間違えずに入力するための支援機能は積極的に使うべきです。変数名の間違いは誤動作を招きますので。

まだ自分はテキストエディタを使い始めて3分しか経ってないよ、という方は、この記事は今はあまり読まなくてもいいかもしれません。

プログラミングに向いたテキストエディタ

Visual Studio Code

azure.microsoft.com

プログラミングの際のエディタに迷ったときはこれを使え! と勧めることができるエディタが2015年にMicrosoftから出ました。プログラミングの際に使うシステムや機能各種を統合的に扱うことができます。プラグインを入れることにより、幅広いプログラミング言語に対応します。大規模なシステムのプログラミングの際には有料のIDE統合開発環境)を導入利用することになると思いますが、そこへのステップアップとして利用するのにも最適です。

……いっぱい褒めましたけど、自分くらいの零細業者的存在ではMicrosoftからリベートを受け取ることはできません。そもそもそんな金のばらまき方をするとも思えませんが。

Sublime Text

www.sublimetext.com

10年前の一時期、試しに使ってみていたテキストエディタです。当時はVisual Studio Codeがまだ無く、無料で試せるIDE統合開発環境)的なテキストエディタとして大変貴重な存在でした。Sublime Textは無料で試用・使い心地の評価ができ、継続的に活用する場合はライセンス購入(2022/12/05時点で99 USD = 約13,000円)が必要であると述べられています。しかし「現時点では、試用・評価後のライセンス購入期限は設けていません」との表記がダウンロードページにあるため、じっくり試すことができます。

Notepad++

notepad-plus-plus.org

私の知人がプログラミング向けに使っているテキストエディタです。軽快な動作が売りで、プログラミングを支援する機能が豊富に盛り込まれています。私も試しに使ってみましたが、Vim / Neovimに深く取り込まれてしまった私は、間もなくしてEscキーを連打する闇の世界に引きずり戻されました。

縦書きができるテキストエディタ

ほとんどのテキストエディタは横書きだけに対応しています。小説を執筆するなど、縦書きをしたい場合、多くの人はワープロソフト(Wordなど)を縦書きモードにして直接打ち込んでいるのではないでしょうか。決して悪いことではありませんが、文章書きに集中したい際には、縦書きのテキストエディタが存在することを是非知って使ってみてください。軽快なテキストエディタで文章を書き、最終的に組版印刷する際にワープロソフトに文章を流し込む手法は大変便利です。

VerticalEditor

infoseek_rip.g.ribbon.to

地矢ただし氏が製作していた縦書きにめっぽう強いテキストエディタです。横書きも可能です。テキストエディタの性格上、小説原稿や台本作成などの執筆に最適です。アウトラインプロセッサとしても使えるため、たとえば小説を章ごとに書き進めるようなことも可能です。

私はVerticalEditorを2007年から2010年頃まで利用し、小説(一次創作)を執筆していました。その後、主力運用マシンがMacBook Proになったこともあって使わなくなり、その時期に確か入手手段が一時的になくなってしまって、後に使おうとして途方に暮れたことを覚えています。作者公式サイトがInfoseekサービス終了後しばらく存在しなくなっていましたが、無事復活していました。

TATEditor

www.cc4966.net

tateditor.app

縦書きができるもうひとつのテキストエディタがこれです。私はまだ少し試したくらいで十分活用できていませんが、文章執筆に最適です。デスクトップアプリ版の他、iOS版、Android版、Visual Studio Code拡張機能クラウド(Web)版もあるようです。

Vim / Neovim(←大好き)

vim-jp.org

neovim.io

2013年以降の私の活動を強力に支える、最強と信じているテキストエディタです。大変長い歴史を持ち、UNIX界では長らくの間後述するEmacsというテキストエディタと双璧をなしていました。両者の支持者がエディタを批評し合うさまは「エディタ戦争」と呼ばれたこともありました。今では「第三勢力」Visual Studio Codeによって平定された感があります。キー操作が大変独特で、他のエディタには基本的に存在しない「モード」の概念があるため、基本操作を習得するのにも大変苦労します。ですからメモ帳からいきなりこれに飛びつくと討ち死にする可能性が高いです。でも私は待っています。貴方がこの高みに至る日を……

使ったことはないけど聞いたことがあるもの

私が利用したことはないものの、コンピュータを大いに活用できるすぐれたテキストエディタは多数存在します。著名なものをいくつか紹介しておきます。

EmEditor

jp.emeditor.com

大変強力なテキストエディタであると聞いています。30日間は全機能(Professional版相当)を試用でき、それ以降はライセンス購入するか、一部機能が制限されたFree版として利用を継続するかが選べます。Windows上で強力なテキストファイル操作を行いたい場合には有力な選択肢となると思います。

秀丸エディタ

hide.maruo.co.jp

秀まるお氏(有限会社サイトー企画)が開発しているテキストエディタで、初版から約30年が経過してなお長く続く老舗です。シェアウェアとして公開配布されており、一定期間試用ができた後に、継続利用する場合はライセンスを購入するという形になっています。私もだいぶ昔から知っていましたが、試用したのはごく最近のことでした。結局Vimが私をつかんで引きずり戻してしまいました。もうEscキー無しでは生きられないんや……

Emacs

www.gnu.org

正確に言えばほんの少しだけ使ったことがありますが、今も覚えているキーバインドは「C-x C-c」(Emacsを終了する)だけです。私の大学時代の恩師や、大学院での指導担当の先生はEmacs使いですが、私はなぜかVimmerになりました。なぜでしょうね。もう忘れました。Escキーから逃れられない……

CotEditor

coteditor.com

macOSで日本語に万全に対応するテキストエディタの双璧はmiとCotEditorであろうと思っています。今手元に環境がないので試用はできていませんが、アルバイト先にある自分用のiMacで試してみようと思います。

テキストエディタがいっぱい

こうして見ると、テキストエディタは大変数多いです。それだけパソコンに親しむ人が必要とし、開発に参加し、あるいは自ら開発したりしています。つまり、もしこの情報技術の世界を渡り歩いてひとかどの人物になろうと志すならば、テキストエディタは自分の相棒となる大変重要な存在になるわけです。でも、ひとまずこの連載で対象としているみなさんは、まずはテキストファイルを活用してみてもらうことが先決ですので、その先にこうしたテキストエディタを選ぶといいと思います。