青竹雑記帖(6代目)

テキスト処理をメインとしたIT解説をします。

文字だけで扱うコンピュータの世界(1):テキストファイルというものがあります

効能書き

これから書いていく記事群は、パソコンをぼちぼち使ってきたけど、そろそろ何かすごいことをしたい、もっと強くなりたいという人向けに、地味ながらも最強の道具とその知識を吸収するための基礎を説こうという、無謀な挑戦です。

ここでの話には、今流行りのキラキラな話題はありませんが、それらにつながる確かな基礎的道具とその使い方を学べるようにしたいと思います。がんばります。

あ、でもこの長文を読んでやろうという人は少なそうですね。誰かこれを下地にして動画にしてくれていいですよ。クリエイティブ・コモンズ「表示 4.0 国際(CC BY 4.0)」 でライセンスしておくので、ブログ記事へのリンクを冒頭か末尾かに差し込んでおいてくれれば。

クダ巻き1(序文)

私がコンピュータを利用するとき、その大部分の活動は「文字でコマンドを打ち込み、文字で結果を表示させる」と要約することができます。3Dモデリングや動画編集がどうこう、表計算ソフトを使ってデータ解析やら何やらという世界とは違い、大変地味というか、おそらく初心者にとっては非常にとっつきにくい分野であると思います。しかし、情報技術の世界で身を立てるには大変有用、むしろこれ抜きで身を立てるのは、現状なかなか難しかろう、という存在が「文字だけの世界」です。最近は文字を書かずともコンピュータを操る技術がだいぶ育ってきましたが、今後10年程度はまだ、コンピュータをたっぷり使いこなすには、この「文字だけの世界」に親しむことが早道と言えます。

とはいえ、いきなり「よし諸君、プログラミングだ!」と言ってついてきてくれる人ばかりなら、人類社会はとっくの昔にコンピュータの達人だらけになっているに違いありません。実際は、日本国内だけでも、ExcelLibreOffice Calcといった表計算ソフトを、手計算した結果をポチポチ打ち込んでおくだけのメモ紙代わりにしていたり、あるいは印刷帳票を簡単に作る(簡単に作れるとは言っていない)ツールとしてしか使っていなかったりする事例は数多く見られます。しかし、今はそのようにしか使っていない人の中には、もっと便利にパソコンを使いたいという人はきっといるはずです。

自分の連載(予定)記事で「書かない」分野への案内

Excelの達人になる、見栄えのするプレゼンテーション資料を作る、あるいはウェブデザインをするといった方であれば、大変良い本がいくつも出ております。本屋で手に取ってもらって比較検討するのが最適ですが、自分が実際に読んだり、これならよかっぺと選んだ本をいくつか出しておきます。

本題「テキストファイル」

みなさん、パソコンでメモをするときに何を使ってますか? 少しの分量であれば、最近のパソコンに必ず入っている付箋アプリを使っているでしょうか? もしかしたら、紙の付箋にメモってディスプレイの横に貼っているかもしれません……ユーザIDとパスワードは絶対に書かないでくださいね。

では、もうちょっと多い分量のメモ、あるいはちょっと文章を書きたいとなったとき、何を使いますか? 具体的なテキストエディタの名前が出てくる人は免許皆伝です。さらなる高みを目指すための記事は2023年春頃に書きます。「てきすとえでぃた……?」となった方は、実に幸運な方です。なぜなら、それを使うと大金持ちになれるからです。情報技術の達人となり、あるいは財を成した人はみなテキストエディタを使っています。それくらい強い道具です。

テキストエディタに触れたことがない人は、おそらくちょっとした分量のメモにも、表計算ソフト(Excel)やワープロソフト(Word)を利用しているのではないかと思います。もし、ワープロソフトの中でも、Windows付属の「ワードパッド」を使っている奇特な方がいたら、むしろ達人に近いかもしれません。ワードパッドってすごいんですよ。

閑話休題表計算ソフトやワープロソフトって、起動に多少の時間がかかると思いませんか? 会社や役所の安物買いの銭失い非力マシン、メーカーだって頼まれなければ作りたくないマシンですと、起動時に死ぬほど待たされるかもしれません。ちょっとしたメモを取りたいだけなのに、そうしたソフトを長時間かけて起動して、ポチポチやって、保存する、実は結構もったいないことです。そんな時には、ただ文字を打ち込み、表示するだけのソフト、すなわちテキストエディタを使うと幸せになれます。幸せになれると私は力説します。なぜなら伝道師なので。

テキストエディタとかいうよくわからんものがどこにあるか? 実はあらゆるパソコンの中にすでに入っています。Windowsですと「メモ帳」、macOSですと確か「テキストエディット」というアプリです。このソフトで何ができるかというと、文字を打って、表示して、保存する。だいたいそれだけです。あとは印刷できます。それだけです。「それだけしかできんのか?」と思うでしょう? でもそれ以上のことが必要ない場面は非常に多いと思います。ただメモしたいときには使ってみてはいかがでしょうか。ただ、Windowsの「メモ帳」は、極めて限られた機能しか持ち合わせていません。これを使って大金持ちになるのは、鑿(のみ)と槌(つち)だけで岩を穿ち、後世に「青の洞門」と称されるトンネルを通した禅海和尚と石工たち並みの忍耐力を要します。偉大なる力に敬服しつつも、現代ではもっと良い道具を使ってもっと高みへ登るべきです。でも、第一歩とするには十分有用です。

テキストエディタで保存したファイルを「テキストファイル」と呼びます。中身は文字だけです。絵は入りません。他のパソコンに持って行っても簡単に読めます。昔はたまに読めなかったりしましたが、今はまずありません。このテキストファイルこそが情報技術の世界を渡り歩く覇者となるための基礎にしてすべてです。ひとまずは難しいことは措いて、テキストエディタを使ってみてください……飛ぶぞ。

ちなみに「青の洞門」は、大分県中津市本耶馬溪町にあります。ぜひ行ってみてください。 nakatsuyaba.com